筆者の佐藤昭年が暮らしたパリとその後再訪するパリの日々を「古いパリ 新しいパリ」の視点で1960年代から今日まで時系列で組合せした「変わらぬパリ、変わるパリ」のアルバム。この頁はパリに関わる商品のビジュアルマーチャンダイジングの表現モチーフについて源流を記録。画像は銀塩フィルムとデジタルカメラ画像です。現在その続編を「パリ50年」を目指して撮影中です。

古今の表裏 ▼早起きはパン屋さん。早朝バゲットやクロワッサンを店頭に並べる。焼きたてのパンとカフェオレで始まるパリの朝。だが横町のパン屋は減少の一途。後継者難と大会社製造の廉価パンが追い打ち。▼パリでは廃業したブロンジュリー・パティスリー(パン・ケーキ店)の外装をそのまま残した服飾店に出会うことが多くなった。▼一方、新しいコンセプトのパン・ストアが台頭。大資本で商品、演出、店装に優れる。▼時代に合わせ原料を吟味、職人の手間も分析。材料のこね、計量分割、成形は高性能の機械に委せ仕上げで手のホットなタッチ。(左=パンケーキ店の看板を残した服飾店 右=機械と人手のパン製造)

古今の表装 ▼ユトリロ、佐伯、荻須は壁を美しく描いた。ヘミングウエイは左岸の空気を活写、「移動祝祭日」にはサンミッシェル広場界隈が登場する。カフェで牡蠣と白ワインを注文、人々を観察。▼隣接のサン・タンドレ・デザール広場の建物壁面には、1865年の写真に銭湯の広告、1898年のアジェの写真にはピアノの文字広告が写る。▼純白壁に変身以降、凹凸が光と陰で際だちキュートな表情を見せている。▼ある日ニューヨークや東京でおなじみのスプレー落書きが出現。誰がどの様に描いたのか、消去までパリっ子憤慨の話題。(左=サン・タンドレ・デザール広場70年代の壁 右='02年の落書き消去前の壁)

古今の表情 ▼ルーブルから西方にカルーゼル、エトワール、ラ・デファンスと連なる3アーチはあたかも2世紀の時空。ルーブルの古代ローマ様式小凱旋門、ナポレオンとエトワール凱旋門、デンマーク人建築家の新凱旋門はガラスと白大理石で省庁と国内外企業を36階建てに収容。▼1960年代、パリは煤けた建物の表層を洗浄して建設時の素材を蘇生。黒い壁こそ趣とする懐疑派は水流と砂の洗浄飛沫を浴びながら足早に通過。▼洗浄が済んだ一角を見ると、明度と彩度の上がったパリはフレッシュで活気と華麗。明るくなった凱旋門も見直される。(左=洗浄前のエトワール凱旋門 右=ラ・デファンスの新凱旋門)

古今の表現 ▼モンマルトルの丘。ローマ・ビザンチン様式のサクレクールバジリカ聖堂に灯される灯明。ほの暗い中で、心を照らし浄化をする▼蝋燭は前3世紀頃誕生。18世紀の宮廷では豪華な夜会で贅沢に華やかに。小さな炎は今もカルチェラタンのレストランのテーブルでロマンチックに点る。▼エッフェル塔を借景にトロカデロ庭園でライティングされた噴水。豊かな水の造形は、滔々と絶え間ない景観をつくり動感を添える。▼ブールバールで電灯の登場から120年余。世を照らす光源は飛躍的進化を遂げた。もっと明るく、更に明るく、色温度を上げた。(左=サクレクールの灯明 右=トロカデロの夜間照明)

古今の表装 ▼プランタン百貨店のクーポールは、19世紀末に新素材のガラスと鉄で、当時人気のP.セディーユが設計。鉄とガラスだが温かく豊かな情感があり美しい。▼一方ルーブルの逆さピラミッドは、20世紀末に中国系アメリカ人建築家イオ.ミン.ペイがデザイン。▼厚さ10ミリのフローティングガラスの青みを除いて2重合わせ。透明な自然光が安らぎを与える。施工技術はダイヤモンド形に切断したガラスを新技術で取り付けてクール。▼天に広がる丸天井と地に降り立つ凹面ピラミッド形とは感性、造形、技術に100年の時間差を見せる。(左=プランタン百貨店のクーポール 右=ルーブルの逆さピラミッド)

古今の表情 ▼新旧共に尊重するパリ。13世紀に建てられ市中で最古の家屋とされるのが右岸3区に残存する。▼西洋で窓の出現は採光と通風を求め、次いで店内を見せるための「構造」から、商品を見せる「目的」に変遷。やがて手工業生産の小寸の板ガラスを桟でつないで店内外を仕切る。▼時代はショウウインドウ照明をガス灯から電灯に変え火災も心配無用に。パリで最初に全館電灯化したのはプランタン百貨店。▼大型のショウウインドウは大判板ガラスの工業生産で可能となりエタラジストの舞台も大きく広がった。(左=最古の建物とショウウインドウ 右=プランタン百貨店のエタラジストとショウウインドウ)

古今の表層 ▼ポスターや壁面の広告はパリの風物詩。ポスター作家カッサンドルはデザイン史に残りサビニャックは96才でいまだに現役。▼そのカッサンドル作パリ最古の壁画広告が左岸のセーブル通りに現存。百貨店のビジネスモデルとして世界最古で現在LVMHによるリニューアルを続ける「ボン・マルシェ」の近く。▼壁画は退色著しく、商品名のDUBONNETとイラストの一部だけ残存。一方スーパーサイズのコンピューター出力スクリーンは現代のコミュニケーションメディア。大型リニューアルのファサードをダイナミックに装う。(左=カッサンドルの壁画広告 右=フォションのファサード全面のスクリーン)

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